イベント開催報告

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イベント開催報告

大内氏と防府天満宮

 

 6月15日から7月19日まで、山口県立美術館で、寄託中の防府天満宮所蔵品のなかから大内氏ゆかりの遺宝を紹介する「山口開府650年記念 大内氏と防府天満宮」が開催されています。
 会場でまず目にとびこんでくるのは、「松崎天神縁起絵巻写」(県指定文化財)です。

 1500年前後に作成されたもので、鎌倉時代に作られた松崎天神縁起(防府天満宮所蔵・重要文化財)の模写です。
 全六巻のうちの第2巻と第3巻を展示し、それぞれ全体の半分を広げて見せています。
 半分でも6メートルはあります。

 絵巻の展示は、展示ケースの関係上、一場面だけをお見せする場合が一般的ですが、今回は山口県立美術館にある長いケースを利用して全容がわかるようになっています。

 絵を描いたのは土佐派という朝廷を中心活躍していた流派です。
 写しとはいえ室町時代の絵巻の傑作の一つに数えられています。

 絵巻の話をみていくと、お坊さんは川を渡るにも川が分かれて牛車のまま渡れたり、祈祷すれば御利益があったりとされていますので、制作に天台宗あたりの僧侶が関わっているかもしれないそうです。

 絵が当時の風俗がしっかりと描き込まれています。こちらは学芸員さんが、力を込めて制作していると言われていたヶ所です。菅原道真の祟りで左大臣時平が寝込んだ場面です。畳の縁の模様は位などによって違うそうで、時平が座っている畳の縁の模様も左大臣用かもしれません。

 こちらは菅原道真の祟りが雷としてくだされた場面です。

 絵のとなりには説明文が書かれているのですが、難しい字で一般の人には読めません。そこで、学芸員さんが分かりやすく超訳した文章が絵巻の手前に展示されています。右の画像がそれです。上の場面のことが書かれています。

 来年9月に、同館で、「松崎天神縁起七百年記念 防府天満宮展〜日本最初の天満宮〜」が開催される予定とのこと。そのときには、寄託中の縁起写だけでなく、現在修復中の重要文化財松崎天神縁起も展示されるそうです。できれば全六巻を全部開いてお見せしたいと話されていましたから、期待したいと思います。

 今回の展示では、ほかに4点展示されています。
 こちらは大内政弘寄進状で、天満宮の井戸から白へびが現れるというめでたいできごとがあったので、敬意をこめて剣を一振り寄進するということを記した書状で、1479年のものです。残念ながら天満宮に寄進されている剣のどれがこのときのものなのか分からないそうです。

 こちらは重要文化財「松藤蒔絵文台硯箱」です。大内義隆が奉納したと伝えられています。連歌の会で用いられるもので、台の上で次々に詠まれる連歌を書いていくものです。

 箱の中には、右から錐、小刀、へらです。連歌の会でどう使ったか正確なところは不明です。筆がみあたらないのが残念です。

 重要文化財の獅子頭です。南北朝時代のものです(耳は後年とりかえられている)。頚のまわりに小さな鉄の輪がついてます。ここに布かなんかをくくって獅子舞をしていたのでしょうか。指定文化財の獅子頭は県内にいくつかありますが、時代が遡るほど獣としての獅子を感じる彫刻であるような気がします。

 こちらの鎧も重要文化財で、1429年に、大内盛見が室町将軍家から拝領した鎧を寄進したものです。天満宮の行事で騎馬が着けるためのものだそうで、実際にこれを着けて馬に乗る姿を想像すると興味がつきません。
 この鎧は、正式名を、浅葱糸妻取威鎧兜付といい、鎧の裾みたいな部分を浅葱色の糸で装飾し、また裾の横端を色つきの糸で妻取という手法であしらっていることからそう名付けられています。
 なお鎧の胴にとりつけられている革に描かれた獅子の絵は後世のものだそうですが、革に描くなんてすごいですね。

 隣に展示されている木箱のふたは、この鎧が納められているもので、ふたの裏に盛見の名前がしっかりと書かれていることから今回一緒に展示されているものです。

 この企画展は7月19日まで開催されています。同期間中は併せて、コレクション特別企画「水のなかへ」・コレクション特別企画「ヌード−描かれた体、撮られた体−」・「中本達也の人物像」・「人のかたち」も開催されています。

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