イベント開催報告

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イベント開催報告

山口の町の漆器展

 

 8月1日から31日まで、山口市菜香亭で、夏の特別企画展「山口の町の漆器展」が開催されました。
 室町時代からつづく山口の町の漆器の歴史をふりかえる展示会です。

 こちらでは室町時代の漆器について紹介されています。
 大内氏が活躍していた室町時代の遺跡から出土した漆器と、足利前将軍が大内氏の饗宴にあずかったときの料理のレプリカが展示されていました。

 江戸時代、山口の町ではおもに庶民向けの漆器が作られていました。雪舟盆とよばれていたその漆器も展示されていました。

 明治21年、郷土史家近藤清石が地元の塗師に室町時代のお椀などを模して試作させました。それがいまの大内塗の直接の元祖です。以来、大内塗は大正時代を最盛期としてさかんに作られるようになり、こちらのコーナーでは最初期の大内膳を展示していました。

 現在、大内塗は経済産業省認定の伝統的工芸品に選ばれています。ここでは全国の伝統的工芸品漆器が紹介されていました。

 現在、大内塗の販売はそのほとんどが大内人形です。中央にはその工程を展示していました。

 また、料亭菜香亭で使われていた漆器も展示。輪島塗ですが、料亭だけあって同じものが何十と揃えられているのがわかる展示でした。

 ここからは展示品を説明します。
 まず、初公開となった初瀬遺跡の出土漆器です。
 山口市宮野の初瀬堤付近が発掘され、15世紀の寺の遺跡が出てきました。そこで使われていたものです。堤のそばに埋もれていたので水気が多く、漆だけでなく木も残った、大変珍しいものです。

 

 こちらは500年前に大内義興が前足利将軍に山口でふるまった食事の一部(レプリカ)です。
 漆器のお椀に「ほやの冷汁」や「ひしおいり」などが入れられて出されていました。
(山口市文化財保護課所蔵)

 こちらは江戸時代から明治時代まで山口で作られれていた雪舟盆といわれるものです。裏側に胡桃で作った足が3つ付いているのが特徴です。
(山口市歴史民俗資料館所蔵)

 

 こちらも古くからある民芸品で泥絵具の大内人形です。現在人気の大内塗の大内人形はこれがもとという意見もあります。
(個人所蔵)

 さて、明治21年、郷土史家の近藤清石が室町時代のお椀などを発見し、地元の塗師岩本梅之進に再現させました。それが現在の大内塗の元祖になります。
 右画像は梅之進の息子與一郎が明治30年代に作成したものです。色合いとかが今と違い、試行錯誤の時代もあったことがわかります。
(個人所蔵)

 與一郎は早くに亡くなり、その妻が塗師の河合辰之進に嫁ぎました。そのため河合家でも大内塗膳を作るようになりました。
 右画像は明治42年に作成されたもので、岩国市の作家宇野千代の父方の実家の酒場が所蔵していたものです。
(個人所蔵)

 大内塗の菓子箱です。下の画像の輪島塗のや、右下の画像の琉球塗とくらべて、同じ朱色でも微妙に違うことが分かります。
(個人所蔵)

 

  こちらは会津塗です。室町時代の大内椀と柄が似ており、もとはおなじものから派生したかもしれないものです。
 大内塗も会津塗も輪島塗も琉球塗も、経済産業省認定の伝統的工芸品に選ばれています。漆器では全国23品目が認定されています。
(個人所蔵)

 料亭菜香亭で使われていた漆器です。輪島塗です。たくさん残っているのですが、同じ柄で数が多いということを示すために品目をかぎって数を多く展示されていました。

 なかには富士山の蒔絵が一点一点ちがうお椀や、鯛のいれものなど、昔の輪島塗の見事な腕前がわかるものも所蔵されており、あわせて展示されていました。

  こちらでは料亭菜香亭のお膳に、当時漆器が使われていた様子が分かる宴会写真が飾られていました。

 さて、ここからは大内人形ができるまでの過程を紹介します。
 @ 伐採した原木のエゴの木を数年かけてじっくり乾燥させます。(中国地方ではエゴの木をチナイという)

 A 乾燥した木材を選別、荒ぐりをし、さらに乾燥させ、目的に応じた人形の形に形成します。

 

 

 

 B 出来上った木地に傷などがあれば、こくそ(傷埋め)をし、下地漆を数回塗ります。

 C 完成した下地を、砥石、サンドペーパーなどで水研ぎし、表面をなめらかにします。
D 下地研ぎの完成ののち、下地漆で下塗りをします。
E 乾燥ののち、下塗り研ぎを、木炭、サンドペーパー等でなめらかに研ぎます。

 F 研ぎ終わった下塗りに、中塗漆で中塗をすします。(中塗漆は次に塗る漆の色に近い色を使用する)
G 中塗り漆がよく乾燥したのち、中塗研ぎを行います。
H 必要に応じて、中塗り、研ぎを数回くりかえします。

 I 中塗研ぎが完成し、上塗りをします。(最後の塗りなので、ほこり等が付かない ように細心の注意をはらって塗る)

 J 上塗りが終わり、絵付けに入ります。

 

 

 完成です。
(大内塗職人の冨田潤二さんが作成されましたものです)
 ※一般的に、「漆が乾く」と表現しますが、漆は漆の中の成分が蒸発して乾くのでなく、空気中の酸素と水分を吸収して、「酸化して硬化する」というのが正しい表現です。したがって、梅雨時のじめじめした時には 早く硬化し、冬の寒くて乾燥しているときには、硬化するのに何日もかかります。

 ここからは実際に使用する道具を紹介します。

 漆箆(うるしへら)
節がなく質の良いヒノキの柾目の板を使用し、幅や角度、しなり具合等を使用目的に応じ、使いやすいように自分で削ります。

 漆刷毛(うるしはけ)
毛は人毛で出来ており、先から根元まで毛が入っており、刷毛の先が傷むと削り出し、それぞれの職人が使いやすい形に自分で削り出します。
※毛は、若い海女さんで一度もパーマをかけた事のない人の髪の毛が最高級品とされ、現在では非常に入手難となっております。

 蒔絵筆(まきえふで)
漆で絵を描く時に使用する筆で、イタチ、猫、ウサギ等の小動物の直毛が使用されます。最高級品はネズミの毛で作られており、なかなか手に入りません。

 うるし 
※漆(うるし)は漆の木の樹液ですが、1本の木から200g位しか採れません。だから、日本で漆を採る人がほとんどいなくなり、現在では日本の使用量の99%が中国から輸入されます。

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