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イベント開催報告

文学界と中原中也−1930年代の文芸復興

(2013・9・1/更新10・1)

 10月31日まで、中原中也記念館で、特別企画展「文学界と中原中也−1930年代の文芸復興」が開催されています。
 11月1日から翌年2月15日までは施設改修に伴い休館されていますので、今年最後の企画展です。

 「文学界」という雑誌は現在も文芸春秋新社が出していますがそれは途中からで、もともとは、真に書きたい作品を発表する場を求めていた文学者たちが集まり、編集までする雑誌として昭和8年にスタートしました。

  中原中也も深くかかわっており、詩21篇、訳詩2篇、評論2篇を発表しています。また、「文学界」に携わった人々には、小林秀雄、河上徹太郎ら中也の友人・知人が多くいます。そういうことから昭和12年12月の「文学界」は中也の追悼特集号にもなりました。


 一番大きな展示ケースには、青山二郎(有名な装丁家・美術評論家)による装丁が展示されています。展示されている雑誌は年月で変色してますが、なんと原画が展示されており、しかも変色していません。もともとの色はこうだったのかと、鮮やかで斬新な色遣いに驚きます。


 さらに、特別企画展ということで、今回は中原中也のオリジナル原稿が多数展示されています。
 画像のような、赤ペンでも書いていたということは、全集でもわかりません。オリジナルだからこそ発見のあることで、貴重な展示です。


 さらにさらに、あの小林秀雄の原稿も展示されていました。有名な「西行」と「ドストエフスキイの生活」。見る機会は滅多にありません。力強い筆跡がなるほどとおもわせます。

 また、雑誌掲載時の中也の詩のページと、その印刷原稿も展示されていました。意外と知られていないのですが、雑誌に掲載される場合、けっこう挿絵が付くことがよくあります。中也の詩にも当然そうで。その指示と、印刷時にあらたに行下げの指示が書き込まれ(詩集掲載時にはもっと下げられる)、しつこく手を入れていたことが分かります。

 中原中也追悼特集号も展示されていました。雑誌文学界では初めての追悼号だそうです(追悼特集まで組まれるのは珍しく、このあとで岡本かの子の追悼号があるくらいだそうです)。中也の葬式日と印刷日が近いので、編集者でもあった小林秀雄が葬式の日に参列者に原稿を約束して回ったのではないかと推測されています。葬式と日を置かずに書かれたせいか、いずれも心のこもった文章です。

 また、当時の東京の風景写真が、展示会場のところどころに展示されていて、往時の雰囲気を味わえるようになっています。
 文学界は中原中也にとって大きく活躍できた場ですが、詩の雑誌ではなく、文芸評論に力の入った雑誌です。そういう雑誌を主要舞台として活躍する詩人というのは、すごい存在ではないでしょうか。

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