イベント開催報告

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イベント開催報告

講演「山口の人々と書籍文化―幕末から近代へ―」

(2015・10・3/更新11・1)
 

10月3日、山口市歴史民俗資料館で、山口大学人文学部石田俊氏を講師に、講演会「山口の人々と書籍文化―幕末から近代へ―」が開催されました。
 石田講師は、2年前に山口大学に赴任された若い先生で、日本近世史が専門(ことに朝廷に関して)です。

 講演は、江戸時代に出版本が普及するようになったことがもつ意味と、幕末に山口の町人たちがどのような本を読み、何を指針にして生き抜こうとしたか、話されました。

 中世まで学問は公家による秘伝によって伝えられてきましたが、江戸時代初頭から儒者などが公開講義を始め、ついで出版と、学問の大衆化が始まりました。世間では「家」のために学問をし、身を修めようと、書物を求め、出版文化が定着しました。
 十朋亭で有名な竪小路の萬代家(1780年頃に醤油の商いを始めた)に残された蔵書をみると、町人道徳を説いた「鳩翁道話」など心学関係の本、「真田三代実記」「日本外史」などベストセラーになった歴史関係の本、「東海道中膝栗毛」など小説関係の本、「秘伝首書新撰碁経大全」など趣味関係の本に大別されるそうです。ここには歴史を学び、家を守るために心学を読み、小説や囲碁を楽しむというこの時期の町人の典型的な姿がみてとれるといいます。
 現在の山城屋酒造につづく山城安倍家(安倍本陣の分家)に残された蔵書では、元々仁保舟山八幡宮神職だったことから、神道関係や有職故実・注釈関係が多く残されていました。
 また、現在の山田酒店につづく、山口の町の本陣を務めた山田家の蔵書を見ると、法然の教説を紹介した仏教関係の本、「日本外史」「赤穂四十七士伝」などの歴史関係の本、種々の謡本など趣味関係の本に大別されるそうです。家を守る基盤として仏教や歴史を学ぶ特徴が見て取れるそうです。
 歴史への関心の高さ、家を守るよりどころを求めた点が、山口の町人の共通項とのお話しでした。

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