大殿大路

大殿大路は、その名前に「大」の字を二つも持っていても、あまり幅は広くない通りです。車の往来も激しくない方です。

道沿いには、大内氏館跡に毛利隆元が建立した曹洞宗の名刹「龍福寺」の参道入口があり、旧家萬代家の離れで幕末の志士たちが集まり、維新に向かって走り出しだ史跡「十朋亭」もあります。
歴史に思いを馳せながら、しっとりとして落ち着いた雰囲気を楽しむにはぴったりの通りでしょう。

「ちょっと前」までは様々な店が建ち並ぶ、大変にぎやかな通りでした。 例えば、駄菓子屋「一銭屋」には目を輝かせた子供達が大勢集まりました。その隣には刀の研ぎ師、玉突き屋、眼医者が続きます。通りの向かいには呉服店やうどん屋と並んで、指物屋、鮮魚店、餅屋、乳母車の専門店が連なり、近所の子供達も手伝って「山」や「砂漠」を切り貼りした地球儀を作る店、傘屋、小学校も並んでいたそうです。

これらの店のほとんどは戦後しばらくして姿を消してしまいます。うどん屋は駐車場になり、鮮魚店は一昨年で店を閉めてしまいました。今はアパートが建ち、一戸建てが目立ちます。

けれど一方、元呉服店があった場所では現在二代目の時計店店主が、確かな技術力 を武器に26年目の歴史を刻み続けています。

また、鉄の格子戸が美しかった眼医者の家は、市の町屋再生事業の第一号として生 まれ変わりました。刀の研ぎ師が店を構えた場所には、素材の存在感を大切にした、 オーダーメイドの家具屋が昨年オープンしました。

山口県立大学生運営による会社「ナルセナバ」は、昨年から山口日本フィンランド協会事務局としても活躍していま す。

戦後しばらく、そこらじゅうにあふれていた美味しそうな匂いと賑わいは、ずいぶん静かになってしまいました。けれど、形を変えながら新しい大殿大路は日々生まれ変わっているようです。

若い人たちの行き来が増え、「通りから店が消えて寂しくなっていたが、最近雰囲気が変わってきた」と近所の人達の眼差しも温かくて素敵です。 そして、もちろん変わらないことも。目を細めて昔話をしてくれるおばあちゃんは、いつでも温かく迎えてくれるでしょう。

通りには、今さわやかな初春の風が吹きぬけています。たまには約束も用事もなく、ただぼんやりゆったりと、歩いてみませんか。(文:河本真由美)

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